はじめての四川料理
甜麺醤 四川料理特有の香辛料 四川料理のレシピ 中華のお供「紹興酒」

甜麺醤(テンメンジャン、ティェンメンジャン)

甜麺醤(テンメンジャン、ティェンメンジャン)とは小麦粉、水、食塩を主な原料とする中華味噌の一種で、特殊な麹を加えて醸造された黒い味噌です。甜麺醤は中国語でtianmianjiangと発音しますが(甜は甘い意味です)、甜醤と略して言う場合もあります。甜麺醤はホイコーロー、マーボー豆腐、マーボーナス、坦々麺など四川料理の隠し味として使うだけではなく、「北京ダックの友」として中華料理ではとても重要な位置を占めている調味料です。甜麺醤は、見た目は日本の八丁味噌に似ていますが、八丁味噌より甘く、色ももっと濃いです。


甜麺醤は北京ダックの友

北京ダックは、ダック料理の中で一番「美味」であると言われています。北京ダックの歴史は古く、中国の宮廷料理の一つとして一般庶民は口にすることができませんでした。北京ダックを食べる時、欠かせないのは甜麺醤です。北京ダックは油分が非常に多いので、そのまま食べることはまずありません。特製の生地に焼き上げた北京ダック、葱やきゅうり、甜麺醤を乗せて食べるのが本格的な食べ方です。またこのように食べなければ北京ダックだけでは飲み込むことができません。北京ダックの皮にはコラーゲンがたっぷり含まれていますが、その分本当に油っぽいです。

甜麺醤と四川料理

甜麺醤は花椒、八角、唐辛子、豆板醤と一緒に四川料理を作る時には無くてはならない調味料です。マーボー豆腐、チンジャオロース、ホイコーローなど四川料理を作る時、小さじ一杯の甜麺醤を隠し味として使ってみてください。入れるのと入れないのでは味の深みが全然違います。四川料理には甜麺醤、豆板醤のほかトウチージャンも結構使います。トウチージャンは、大豆の粒がそのままのものと細かく潰したものと分かれています。中国の人は、トウチージャンを鍋料理に使うことが多いですが、お粥の時そのまま一緒に食べることもあります。

甜麺醤の栄養

甜麺醤はたんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミン、カロチンが豊富に含まれている健康調味料です。また、発酵の時にはオリコー糖と葡萄糖を分泌しているので中国では「緑色調味料」として愛用されている方が多いです。北京ダック専門店に行くと、その店によって甜麺醤の味は違います。「北京ダックの味は甜麺醤で決まる」という説もあるぐらいなので、甜麺醤がいかに重要であるかはよく分かります。中国のほとんどの北京ダック専門店では、その店特製の「秘伝の甜麺醤」を作っています。このような特製甜麺醤は、市場で買うことは絶対できません。

甜麺醤レシピ

甜麺醤を主なベースとした中華レシピをご紹介します。作り方は非常に簡単でシンプルですが、ちょっとしたおもてなしの時にお出ししても大丈夫ですよ。中国の人はこの料理を「京醤肉絲(jingjiangrousi)」と呼んでいますが、「甜麺醤ロースー(甜麺醤肉絲)」と言ったほうが日本人には分かりやくいかも知れません。北京ダックの食べ方とまったく一緒なのでこの料理を食べる前には必ず手をきれいに洗ってください。北京ダックを食べたことがある人はご存知でしょうが、春巻きにお肉を巻いて食べるからです。

材料

  • ☆ 豚肉 … 300グラム(ブロック)
  • ☆ ネギ … 1束(太めのネギ)
  • ☆ 春巻き … 10枚
  • ☆ 甜麺醤 … 適量

調味料

  • ★ サラダ油 … 大さじ二杯
  • ★ 塩、胡椒 … 少々
  • ★ 醤油 … 大さじ一杯
  • ★ 片栗粉 … 適量

作り方

  • 1. 豚肉を細切りにして、片栗粉、醤油で下味をつけておきます(冷蔵庫で30分ぐらいねかせておくと味が染みて一層おいしくなります)。
  • 2. 熱くなったフライパンにサラダ油、生姜のみじん切り、豚肉の細切りを入れよく炒めます(生姜が焦げないよう、油を入れてからすぐ入れるようにしましょう)。
  • 3. ネギは千切りにしてお皿に盛ります。
  • 4. 春巻きを蒸して冷ましておきます。
  • 5. 蒸した春巻きに調理した豚肉、千切りの葱、甜麺醤を乗せ巻いて召し上がってください。